【イスタンブール=佐野彰洋】ロイター通信によると、7日の夜間取引でトルコリラの対ドル相場は一時1ドル=2.79リラまで下げ、史上最安値を更新した。同日投開票のトルコ総選挙では与党が10年以上守った過半数に届かなかった。政権樹立に時間を要する可能性が高まり、政策運営が滞るリスクが意識されたもようだ。
8日朝もこの流れを引き継ぎ、5日終値に比べ約3%安い2.75リラ台で推移した。米国の利上げ観測により、新興国通貨は下落基調が続いているが、リラの下げ幅の大きさが目立つ。年初来の下落率は15%にも達する。
市場は2002年から続く与党・公正発展党(AKP)の一党支配が続く確率が高いとみていた。市場の信認の厚いババジャン副首相が今回の総選挙には出馬しておらず、退任が濃厚なことも嫌気されている。