大阪府警北堺署が窃盗容疑で男性会社員(44)を誤認逮捕し、大阪地検が起訴した問題で、男性が国と府に慰謝料など計約1180万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(植屋伸一裁判長)は15日、違法な捜査、起訴と認定し、両者に計約620万円を支払うよう命じた。
判決によると、男性は2013年4月、盗んだ給油カードを使ってガソリンスタンド(GS)で給油したなどとして窃盗容疑で逮捕され、同6月に起訴された。
しかし、逮捕の決め手となり、男性が映っていたとされたGSの防犯カメラの時刻が大幅にずれていたことなどが判明し、大阪地検は同7月に男性を釈放し、起訴を取り消した。
判決は、男性が一貫して否認しているのに、地検が時刻のずれなどを確認することなく起訴したとして「有罪と認める嫌疑があったとは言えず違法」と判断した。
府警の捜査についても「通常要求される水準の捜査を行う職務上の注意義務を欠いた」などと指摘した。
取り調べで警察官が「汚れた手で子供の頭をなでてあげられますか」「ずっと悪人でいくのか」と発言したことについても、「男性の人格権を侵害する違法な行為に当たる」と認定した。