核兵器禁止条約の交渉で5日、最終の文言調整について発言する議長国コスタリカのホワイト議長(中央)=ニューヨークの国連本部、松尾一郎撮影
ニューヨークの国連本部で続いている核兵器禁止条約の交渉で5日、最終的な条約案がまとまった。「ヒバクシャの受け入れがたい苦痛を心に留める」との一節を含む文言が決まり、最終日の7日に採択されるのが確実な見通しになった。
特集:核兵器禁止条約
特集:核といのちを考える
この日の会合では、3日に公表された最新の条約案について意見交換。米国を中心とした「核の同盟」でもある北大西洋条約機構(NATO)の加盟国でありながら交渉に参加したオランダは、禁止事項など多くの項目で「NATOの義務と相いれない」などの理由で不賛同を表明した。
今後の焦点は、採択に参加する国の数だ。公表された現参加国数は121カ国で、国連加盟国193カ国の6割強。「(核保有国などから)各国への圧力はすごく強い。フランスがアフリカの旧植民地などに積極的に働きかけている」(中南米の大使)といい、7日の採択時には「(圧力で)90カ国程度しか出席しないのではないか」との見方も浮上している。
採択は「全会一致」か投票で行われる。不賛同や反対の国々が当日欠席する可能性は高く、「条約案が投票なしで採択される可能性が高まっている」(主要推進国関係者)との指摘もある。ただ、NGOなどは投票も見据え、条約案の正当性をより高めるため、議場にあまり姿を見せない参加国に対して当日出席するように働きかけている。(ニューヨーク=松尾一郎、金成隆一)