神戸市は、模擬カジノなどをサービスの中心に据える高齢者向けデイサービス(通所介護)の規制に乗り出す。機能訓練といった本来の趣旨から外れ、疑似通貨で射幸心をあおるような遊技性の強い事業所は指定しないと条例で定める。市によると全国初の取り組みで、事業所の指定基準を定めた条例の改正案を9月市議会に提出し、同月中の施行を目指す。
11日、久元喜造市長が定例記者会見で表明した。市長は適度な娯楽の活用は高齢者の心身の活性化に役立つとする一方、「最近は遊技場かと思われるような事業所が出てきている」と指摘。介護保険事業の財源に、公費や市民が負担する介護保険料が充てられることから「過剰で不必要な介護サービスは保険料の上昇や利用者の自己負担増につながる」と説明した。
デイサービスは自宅から日帰りで通い、入浴や食事、体の機能訓練などが受けられる。市は、賭博や風俗営業を連想させる名称や広告を出す事業所を規制するとしている。市内ではまだこうした事業所を確認していないが、首都圏などで展開している事例があるため、先行して対応する。