鹿児島市では16日、桜島の噴火警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられたのを受け、厳戒態勢が続いた。市は午前、警戒本部会議を開き、火山活動や今後の対応などを協議した。16日は午前8時までに有感地震が発生していないことや、「爆発的噴火が切迫している状況は変わらない」との京都大防災研究所の報告が伝えられた。
避難から一夜明け、「さくらじま白浜温泉センター」で保健師の健康診断を受ける住民(16日午前、鹿児島市桜島白浜町)=共同
気象庁によると、15日に急増した火山性地震は減少傾向で、16日は午前9時までに約40回。地殻変動も鈍化している。しかし、いずれもレベル引き上げ前より活発な状態が続いており、火口から約3キロの範囲で大きな噴石が飛ぶ噴火が起きる恐れがあるとみて、厳重な警戒を呼び掛けている。
市は島の有村町の全域、古里町と黒神町の一部の計51世帯77人に出した避難勧告を維持。16日午後に一時帰宅を実施した。山腹の噴火や大きな火砕流の恐れがある場合、全島避難に切り替える方針だ。避難対象の住民は島内に開設された避難所で不安な一夜を過ごした。
「さくらじま白浜温泉センター」に避難した有村町の土産物店経営、鳥越ミツ子さん(72)=黒神町=は、足が悪いため畳の上で寝ることができず、ロビーのソファで夜を明かした。「腰が痛いし店も心配。早く戻れるといいんだけど」と疲れた様子。
有村町の山下ミツヱさん(91)は「高齢者福祉センター東桜島」で朝を迎えたが、島内の桜島病院に入院する夫文雄さん(93)と連絡が取れず「心配でごはんが喉を通らない」。古里町から避難した無職竹之内イチ子さん(81)は「人も多く毛布1枚だったので寝付けなかった。嵐の前の静けさのようで、これからどうなるのか…」と先行きを案じた。〔共同〕