【サンパウロ=宮本英威】ブラジルで16日、ルセフ政権に抗議するデモが全国各地で行われた。有力ニュースサイトG1によると、全国200カ所以上で88万人が参加。経済低迷に加え、与党の政治家が関与したとされる汚職疑惑が拡大しており、大統領の弾劾を求める声も高まりつつある。こうした政治的な混乱は、来年8月のリオデジャネイロ五輪期間中の治安に対する不安要素にもなりかねない。
16日、ブラジルのルセフ政権に抗議するデモが各地で行われた。サンパウロでも市民がプラカードを掲げて気勢をあげた=ロイター
政府への大規模なデモは今年3回目。170万人を動員した3月には及ばなかったが、4月の70万人は上回ったようだ。リオデジャネイロでは16日、夏季五輪を控え自転車競技のテスト大会が開催されており、開始時間やコースの変更を余儀なくされた。
最大都市サンパウロでは、中心部のパウリスタ大通りで、サッカー代表のユニホームに身を包んだ多くの人が行進した。デモ参加者は「ジルマ(ルセフ氏)は出て行け」などと書いた紙を掲げ声をあげた。会社員のウゴ・サンデスさん(59)は「ルセフ政権はブラジルの歴史上で最も汚職にまみれている。弾劾が行われるべきだ」と語った。
この日のデモは複数の市民団体が呼びかけ、交流サイトなどを通じて参加者が広がった。大部分のデモ隊は静かに歩くなど平和的に抗議しており、大規模な衝突や暴動は報じられていない。