【ソウル=小倉健太郎】韓国と北朝鮮は25日未明、22日から断続的に開いてきた高官会談を終了し、6項目の合意文を発表した。地雷爆発で韓国軍兵士が重傷を負った事件に北朝鮮が遺憾を表明。韓国は拡声器を使った宣伝放送を25日正午に中断する。北朝鮮の「準戦時状態」解除も盛り込み、高まっていた緊張状態は緩和に向かう見通しだ。
記者会見する韓国の金寛鎮大統領府国家安保室長(25日、ソウルの青瓦台)=AP
韓国大統領府によると南北軍事境界線にある板門店で開いた会談は25日午前0時55分に終わった。23日午後3時半の開始から33時間以上が経過した。22日に始めた最初の会談を含めると合計で43時間以上に達する。
韓国側代表として出席した金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長は会談終了後、大統領府に戻ってすぐに記者会見を開いた。「双方の合意事項を誠実に履行し、対話と協力を通じて信頼を高めることで新たな南北関係を作る契機になることを期待する」と話した。
北朝鮮は4日に発生した地雷爆発への関与を否定していたが最終的には遺憾を表明。再発防止への努力も約束したと金室長は説明した。合意文によると南北はこのほか、関係改善に向けてソウルか平壌で近く当局者会談を開いて対話を続けるほか、朝鮮戦争などで離ればなれになった離散家族の再会に向けた実務者接触も開く。多様な分野での民間交流活性化にも取り組む。
会談に北朝鮮からは金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近である黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長らが出席した。北朝鮮側も朝鮮中央通信が板門店発で6項目の合意文を報道した。
地雷爆発をきっかけに韓国が始めた宣伝放送に北朝鮮は強く反発し、20日には砲撃を実施。韓国も応射した。22日に高官会談が始まった後も北朝鮮が前線での攻撃準備とみられる動きを強化、韓国側も「最高水準の警戒態勢」をとり、緊張が高まっていた。