――米国の金融政策がドル相場に影響を与えていると考えているか。
「米国の金融政策は議会に与えられた目標を達成する試みに直結している。一般的に金融政策を引き締めて利上げをすると、それが実際に起きた時でも(利上げ)観測が高まった時にも、国際的な金利差が資本の流れを引き起こし、為替レートに影響を与えるものだ」
「したがって、金融政策はしばしば為替レートにいくらかの影響を与える。私の考えではこれは金融政策の働きの中で主たるものではない。数ある金融政策の作用の1つだ。しかし、為替レートにいくらかの影響を与えるのは事実で、もちろん我々はそのことを考慮する必要がある」
――今後利上げに踏み切っても、住宅市場の回復は続くか。
「我々は住宅市場のさらなる回復を予想している。住宅着工件数は雇用が生み出されている経済環境下でまだまだ潜在的な買い手がいることを示す低レベルにある。依然として(家族などと)同居している人もたくさんいる。住宅に対する需要は今後も強く、労働市場と賃金の伸びが改善するにつれて、(人々は)徐々に実際に家を買っていくだろう」
「我々が住宅市場をあてにしているかという点では、住宅市場は今では経済のごく小さなセクターにすぎず、私自身の米経済の回復が続くという見方のカギとなる要素ではない。あくまでも補助的な役割だ。個人消費が(経済回復の)主たる要因だと考えている」
「しかし、私は住宅市場の改善を今後も期待している。そして、利上げにあたっては我々は短期金利を少しずつ時間をかけて緩やかに上げていくつもりで、これはすでに長期金利にある程度織り込まれている。一方で、時が来て、我々がゼロ金利政策を解除する時には、長期金利がいくらか上昇するのは自然なことであり、もちろん住宅市場が住宅ローン金利に対して敏感であることも理解している。これは重要な要素であり、もちろん政策の適切な道筋を考える上で考慮に入れている」
――低金利は裕福な人の恩恵が大きく、貧富の差が拡大するという意見がある。低金利政策を通じて、FRBが貧富の差を広げたと思うか。
「そのようには考えていない。金利が資産価格に影響を与えるのは事実だが、負債と債務のバランスシートを通じて複雑に影響を及ぼす。私としては、緩和的な金融政策がもたらす効果は、主に人々を働く場に戻すことだと考えている」
「収入格差は最も弱い立場の人々を痛めつける高い失業率と弱い労働市場という環境において悪化するものだ。人々に仕事を取り戻し、労働市場が改善していくことは、弱者に対してとても好ましい影響を与えることであり、収入格差を広げるようなものではない」
「金融政策の様々なやり方の中で、どの部分が格差に影響を与えるかということを考えようとする研究が最近もたくさんなされている。最近の研究では、FRBの金融政策は収入格差を広げていないという結論が出ている」
――政府機関が閉鎖される可能性が出ていることは、今日の会合に影響したか。立法府に対して言いたいことはあるか。
「このことは我々の決断に何の影響も与えていない。歳出法案を通過させ、政府が債務上限を処理し、支払いをできるようにすることは議会の責任だ」
「経済は見事に回復し進展してきている中で、議会がその進展を脅かすような動きを見せている。これは不運なことでしかない。これは議会の仕事だ。議会は我々に中期的な経済の見通しをまとめ、それに基づいて適切な金融政策を実施するように求めている。我々は過去ずっとそうしてきたし、今後もそうしていくだろう」
――FRBは金融緩和に伴い拡大したバランスシートを、いつ縮小し始めるのか。
「7月の会合の議事要旨の中にもあるように、これまでも我々は再投資政策について議論してきた。我々の正常化の基本方針は、FF金利を上げるまでは再投資を減らすこともやめることもしないというものだ。この方針の下では、適切なタイミングは経済や金融の状況とそれを我々がどう評価するかによって決まる。そしてその手引きは正確であり続ける。これ以上説明できることはないが、正常化のプロセスに入った後にバランスシートの縮小を始めるという決まりだけは確かだ」
「バランスシートの縮小を遅らせているということは、我々の議論の中では大きな問題ではない。しかし、確かに利上げを遅らせれば、バランスシートを縮小させるタイミングも遅らせていることになる。今後も適切なタイミングについて議論を続けていくしかなく、これ以上の決定は今のところない」