【ニューヨーク=杉本貴司】米ゼネラル・モーターズ(GM)は17日、2014年に発覚した欠陥放置問題を巡り、米司法省に制裁金として9億ドルを支払うことで合意したと発表した。GMは同日、同問題を巡る集団訴訟でも5億7500万ドル支払うことで和解した。計14億7500万ドル(約1770億円)に上る巨額の出費と引き換えに欠陥放置問題は収束に向かいそうだ。
GMの欠陥放置問題は同社がエンジン点火スイッチの欠陥を認識しながら10年以上も放置したことが判明している。その結果、124件の死亡事故と275件の負傷事故が確認された。
GMは点火スイッチで260万件をリコール(回収・無償修理)したのをきっかけに品質上の不具合を全面的に見直す取り組みを始め、3千万台ものリコールを迫られた。関連費用として14年1~6月期に25億ドルを計上した。
司法省はGMが同問題で不適切な対応を認めたため、日本の執行猶予にあたる3年間の訴追延期合意(DPA)を課すことで決着した。実質的に刑事訴追を免れ捜査が終わる。司法省はGMが欠陥を認識しながら「隠した」と指摘したが、GMによると問題発覚後の同社の素早い対応を評価して訴追延期を認めたという。
トヨタ自動車も09~10年の「意図しない急加速」問題で同様の処置を受け、過去最高の12億ドルを支払っている。
これとは別に、GMは17日、欠陥が原因で事故にあったとする被害者が起こした集団訴訟で、原告と和解したと発表した。訴訟の和解金と司法省への制裁金の合計14億7500万ドルは、15年7~9月期決算に計上する。
司法省による訴追を実質的に免れ、大規模訴訟への対応にもメドをつけたことでGMの経営を揺るがした欠陥放置問題は収束に向かう公算が大きい。GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は17日、従業員に対して「我々の任務はこの経験から教訓を得て会社を良くするために使うことだ」と語った。