8日午後9時50分ごろ、広島市中区流川町の繁華街にある雑居ビルで「煙が出ている」と110番があった。ビルは全焼し、3人が死亡した。男性2人、女性1人とみられる。女性はビルに入居しているメイドカフェ「黒猫メイド魔法カフェ」の従業員で、所在が分からない女性(28)とみられ、広島県警は身元確認を急ぐ。
3人のうち男性と女性とみられる2人の遺体は9日午前、焼け跡から見つかった。このほか、病院に搬送され、重体となっていたメイドカフェの男性客(36)が死亡した。火災は、発生から9時間近くたった9日午前6時半ごろ鎮火した。県警と市消防局は、火元や出火原因を特定するため現場検証する方針。
県警によると、ほかに女性従業員(21)が重体、女性従業員(25)が重傷、男性客(43)がけがを負った。いずれもメイドカフェの2階にいた。他に5人ほどが煙を吸ったが、症状は軽いとみられる。
雑居ビルは鉄骨2階建てで、同店が1、2階に入居。女性従業員11人と男性従業員1人のほか、客が10人程度いたとみられる。この店に行ったことがある男性によると、1階は飲食ができるカウンターで、2階はカラオケなどができる設備があったという。
県警によると、1階には居酒屋2軒が入っていた。隣のビルも全焼した。
現場は、広島市最大の繁華街の一角で、雑居ビルや飲食店が立ち並んでいる。
現場のビルの窓からは断続的に真っ赤な炎が噴き出し、黒い煙が激しく立ち上った。警察官や消防隊員が「逃げろ、逃げろ」「下がって」と叫び、周辺は騒然となった。
現場近くの花店の男性(61)は「煙が出て、3回ぐらい爆発音がした。その後、炎が見えた。飛び降りてけがをした人もいる」と話した。〔共同〕