【ニューヨーク=中西豊紀】米FCAUS(旧クライスラー)と全米自動車労組(UAW)は9日、若手と熟練工の賃金格差を埋めることなどを軸とした賃上げで合意した。今の体系は金融危機時の2007年に導入したが、業績回復で労組が「平時モデル」への移行を求めていた。今後は米ゼネラル・モーターズ(GM)など大手2社の対応が焦点となる。
格差是正策の合意はUAWが9日、発表した。組合員の投票を経て決定する。現在は07年秋以降に入社した若手は時給が最大19.28ドルに抑えられる一方、それ以前に入社した熟練工は平均28~29ドルを得る仕組みとなっており、格差が生じていた。今回は、今後8年かけて若手の時給を熟練工並みに引き上げることで合意した。
労使は9月、格差を残したままの賃上げ案で暫定合意していたが、その後交渉が仕切り直しとなり、最終的に格差解消が決まった。今後、UAWはGMやフォード・モーターに対しても同様の体系見直しを求めていく。ただ、賃上げは将来にわたってのコスト負担となる。海外メーカーとの競争を迫られるなか、他社が追随するかは不透明だ。