【カイロ、モスクワ=共同】アラブ紙アッシャルク・アルアウサトとアルハヤトは25日、シリア内戦終結に向けたロシア政府の和平案概要を報じた。来年1月までに軍事作戦を終了し、議会選挙を経て移行政権を樹立。1年半の移行期間の最後に新憲法下で大統領選を実施する内容で、アサド大統領がこの選挙に出馬する余地を残している。
アルハヤトによると、ウィーンでの23日の外相会議でロシアのラブロフ外相が提案した。アサド氏は25日、将来的な大統領選出馬に意欲を表明。ロシア和平案に沿って政権延命を図る構えとみられるが、米欧や反体制派は移行政権からのアサド氏排除を求めており、反発は必至だ。シリアへの軍事介入をてこに存在感を増したロシアは和平に向けた動きでも主導権を握りそうだ。
シリアの首都ダマスカスで25日にアサド氏と会談したロシア国会議員らによると、アサド氏は「もしシリア国民の求めがあるなら大統領選への参加は否定しない」と権力維持に意欲を示した。ロシア通信が報じた。
アサド氏は議会選と大統領選の時期について憲法改正して早期実施を検討する可能性も示した。
アッシャルク・アルアウサトによると、ロシアのプーチン大統領はアサド氏の再出馬に否定的だが、側近や現政権高官の出馬には反対しない意向という。
和平案では、まずアサド政権軍と穏健な反体制派「自由シリア軍」の戦闘を停止。移行政権樹立の後、政権軍と自由シリア軍を統合し、共通の敵と戦うことを目指す。
ロシアのラブロフ外相は24日放送の国営テレビのインタビューで、シリア情勢正常化に向けた政治プロセスの一環として大統領選と議会選の実施を呼び掛けた。