【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)は3日、排ガス試験の不正を受け進めている内部調査で、二酸化炭素(CO2)排出量の不正も見つかったと発表した。対象車種は現時点で約80万台にのぼるという。VWの不正はディーゼル車の窒素酸化物(NOx)の排ガス量だけでなく、欧州連合(EU)が環境政策として重視してきたCO2排出量の不正まで広がった。
VWは今回のCO2不正に伴う関連費用としてまず20億ユーロ(約2660億円)を計上する。今後、費用が膨らむ可能性もある。
VWによると、CO2排出量の認証の過程で、燃費のデータを低くするように設定されていた。対象車種の多くがディーゼル車だったとしたが、具体的な不正の手法や車種、販売した時期や市場は明らかにしていない。
VWは新たな不正が発覚したのを受けて、各国の認証機関と協議に入る。同社のマティアス・ミュラー社長は同日の声明で「徹底的、かつ包括的に真相を究明する」と述べた。
VWの不正を巡ってはこれまで、違法ソフトウエアを使ってディーゼル車の試験時だけNOXの排出量の不正を低く抑え、実際の走行時の燃費性能やCO2排出量の低さを重視したとされてきた。ただ、CO2の不正も見つかったことでVWの信頼やイメージは一段と悪化しそうだ。