公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は11日、9~10月の運用委員会の議事要旨を公表した。環境や企業統治に対する企業の取り組み姿勢を投資判断の材料とする「ESG投資」を巡り、ある委員は「体制整備について一層努力していただきたい」と事務局に要望したことが分かった。ESG投資を巡っては、自民党が普及を政府に提言し、GPIFに採用を要求。GPIFは9月、ESGを柱とする国連の「責任投資原則」に署名していた。
ある委員は、GPIFが国連の同原則に署名したことに関し「GPIFの投資原則やスチュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)と整合的であり、被保険者の方々の納得も得られやすいと思う」と指摘。その上で「ESG投資が実際にどの程度収益面でポジティブな効果をもたらすかについては、引き続き研究をお願いしたい」と求めた。
このほか2015年7~9月期の運用実績の発表時期について、GPIF事務局は「11月の末から12月の初めになる」との見通しを示した。市場では、世界的な株安が響き、同期間はGPIFの運用成績がマイナスになったとの観測が出ている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕