【カイロ=共同】レバノンの首都ベイルート郊外にあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点地区で12日、ほぼ同時に自爆テロが2件相次ぎ、保健省によると、少なくとも43人が死亡、200人以上が負傷した。シーア派を異端視するスンニ派の過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。
シリアのアサド政権を支援するヒズボラの民兵組織が2013年にシリア内戦に本格参戦して以来、レバノンのヒズボラ地区はたびたび標的とされてきたが、今回は最悪規模の被害とみられる。
シーア派の大国イランの影響下にあるヒズボラは、アサド政権側の主力部隊として台頭し、スンニ派主体の反体制武装組織やイスラム過激派と衝突を繰り返している。
現場のボルジュ・バラージュナ地区は商業・住宅地区で混雑していた。AP通信によると、最初の自爆犯はシーア派のモスク(礼拝所)の外で、もう1人はパン屋の近くで自爆した。3人目の自爆犯がいたが、先行する爆発に巻きこまれ死亡したとの報道もある。
レバノンは歴史的にシリアとの結び付きが強い。シリア内戦の混乱波及が進み、宗派対立が激化すれば、1975年から15年続いたレバノン内戦の再燃への懸念が広まりそうだ。