【フランクフルト=加藤貴行】産業ガス世界大手の仏エア・リキードは17日、米同業のエアガスを買収することで合意したと発表した。買収額は負債を含めて134億ドル(約1兆6500億円)。エア・リキードは独リンデと世界シェア首位の座を激しく争っている。世界最大の産業ガス市場である米国地盤のエアガスを傘下に収めリンデを突き放す。
産業ガスは鉄鋼や化学、半導体、医療などあらゆる分野に用途が広がり、新興市場でも需要が拡大する。大陽日酸など日本勢も含めた小規模のM&A(合併・買収)は相次ぐが、欧米大手同士の大型再編は約4年ぶり。仏独の世界2強による再編が再び活発になってきた。
エア・リキードはエアガスの直近1カ月間の株価に50.6%上乗せした1株あたり143ドルで全株を取得することで合意した。
エアガスは北米が収益のほとんどを占め、食品の鮮度を保つため包装のなかに封入するガスや、関連サービスに強い。各分野を幅広く手がけるエア・リキードは買収で米最大手のプラクスエアを抜いて米国でも首位に立つ。欧州や中東では首位の座を固める。
エア・リキードはエアガスが得意とする納入先へのサービス事業を上積みする。また重複部門の合理化や規模の利点を引き出し、2~3年で税引き前で3億ドルのコスト削減効果を見込む。
業界では2000年代にエア・リキードとリンデが同業の買収で規模を拡大し、寡占化が進んだ。大型買収は12年にリンデが在宅医療用ガス大手の米リンケアを46億ドルで買収して以来となる。