【NQNニューヨーク=神能淳志】米連邦準備理事会(FRB)は18日、10月27~28日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。10月の会合では金融政策の正常化を始める時期やその後の引き締めペースが議論の焦点となり、大半の参加者が経済や労働環境、物価動向の見通しなど利上げを始めるための条件が「(12月の)次回の会合までに満たされる」との考えを示したことが明らかになった。
議事要旨の主なポイントは以下の通り。
◎金融政策
「何人かの参加者は金融政策の正常化を始める条件が既に満たされているとの考えを示した。大半の参加者は(利上げの)条件が次回の会合までに満たされると予想した。一方で、実際の決定はこれから明らかになる経済データに依存することを強調した。そのほかの何人かは12月の会合までに利用できる情報はフェデラルファンド(FF)金利の目標引き上げを保証するものとはならないと判断した」
「利上げ開始後の引き上げ経路について、参加者は金融緩和策を緩やかに取り除いていくことが適切だとおおむね一致した。利上げの開始時期よりもその後の政策の予想経路の方が金融環境や経済・インフレ見通しに対して重要な影響を与えると示唆。そのうえで、利上げ開始時にはこれらの考えを強調することの重要性を指摘した」
「委員らは次回会合に向けて政策の選択肢を残すために声明の文言を更新したとみている。ただ、2人の委員は文言の変更が次回の会合での利上げを予測していると強すぎるシグナルとして誤解を与える可能性について懸念を表明した」
◎経済情勢
「大半の参加者は海外の経済・金融情勢から生じる下振れリスクは減少したとみたほか、国内での経済活動や労働市場の見通しに対するリスクはほぼ均衡していると判断した。しかし、少数の参加者は海外から来る下振れリスクはまだ目立っていると指摘した」
◎物価動向
「参加者は依然としてエネルギー価格の下落やドル高がもたらすインフレの下押し圧力は一時的であることが示されると予測した。幾人かの参加者は市場に基づくインフレ予想が下がっていることを例に挙げて物価には下振れリスクを指摘した。ただ、参加者はおおむね生産物や労働市場の引き締まり、エネルギーや輸入物価の下押し圧力の減退、安定したインフレ予想を映してインフレ率は中期的に目標に向かって推移していくと引き続き予想した」
◎雇用情勢
「9月の雇用者の伸びは減速して失業率は横ばいだったが、参加者は労働資源の未活用が年初から減少したとの認識で一致した。何人かが労働資源の未活用は少し、もしくは既にないと判断するなか、多くの参加者は労働市場が最大雇用と完全に一致するにはさらなる進展が必要だとの見方を示した」