【イスタンブール=佐野彰洋】ギリシャ議会は19日夜(日本時間20日朝)、欧州連合(EU)からの金融支援継続に必要な財政構造改革法案を与党の賛成多数で可決した。住宅ローン滞納者の保護基準を引き下げるなどした今回の法制化を受け、EU側は20億ユーロ(約2600億円)の財政資金に100億ユーロの銀行資本増強資金を加えた計120億ユーロの追加融資に応じる。ギリシャの経済再建は一歩前進する。
ギリシャ議会は19日の採決で住宅ローン延滞者の保護基準の引き下げ、オンライン賭博やワインに対する増税策を法制化した。これを受け、EU側は20日にもユーロ圏財務相会合の作業部会で追加融資を承認する方針だ。
財政危機に陥ったギリシャはEUとの間で3年間で最大860億ユーロの金融支援を受けることで合意済みで、EUは8月には130億ユーロを払い込んでいた。債権団の注文通りにギリシャが改革を進めたことで、追加融資が実現する見通しだ。
10月末には欧州中央銀行(ECB)がギリシャの四大銀行の資本不足額が144億ユーロに上ると発表。預金の引き出しを制限するなど「資本規制」を続けるギリシャの金融システムを正常化するためには、資本増強を通じた銀行経営の再建が不可避となっていた。
各行は債券と株式の交換や新株の発行などを通じて民間投資家から資金を募っており、公的資金の注入額は100億ユーロを下回る見通しだ。