【パリ=竹内康雄】フランスの地域圏議会選挙の第1回投票が6日実施された。仏メディアによると、極右政党、国民戦線(FN)が13の選挙区のうち少なくとも6選挙区でトップに立った。11月13日のパリ同時テロの影響で有権者の関心が治安問題に移り、反難民を訴える急進政党に支持が集まったとみられる。
6日、フランス北部エナン・ボーモン市で記者団に囲まれる国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首=ロイター
オランド大統領が所属する国政与党の社会党がトップに立ったのは3選挙区。サルコジ前大統領率いる右派グループは4選挙区で首位だった。仏全土の得票率はFNが30%、右派グループが27%、社会党が23%。仏メディアは「FNの歴史的な躍進」(経済紙レゼコー)と表現した。
投票締め切り後に記者会見したFNのルペン党首は「すばらしい結果だ」と称賛した上で「我々には国の団結を実現する資格がある」と、難民の受け入れ停止といった公約を実現する考えを示した。社会党幹部は仏紙に「テロの影響が大きかった」と語った。
地域圏議会選はフランスで最も大きい単位の自治体の議員を選ぶ。6日の第1回投票で10%以上の票を得た政党が13日の第2回投票に進み、トップとなった党が議長職を得る。FNが過去に地域圏で単独与党になったことはない。議会選は17年の大統領選前の最後の大型選挙で、大統領職を狙うルペン党首にとって大きな足がかりになる可能性が出てきた。
社会党は6日夜、2選挙区で第2回投票に進出するのを断念することを決めた。2選挙区は北部のノールパドカレー・ピカルディーと南東部プロバンス・アルプ・コートダジュールで、ルペン党首とめいのマリオン・マレシャル・ルペン氏がそれぞれ立候補していた。社会党のカンバデリス第1書記はFNの単独与党実現を阻止するため、FN以外の政党に投票するよう支持者に呼びかけた。