東京電力福島第1原子力発電所事故で発生した指定廃棄物の処分場建設問題を巡り、環境省は13日、仙台市内で宮城県市町村長会議を開いた。環境省は年内の詳細調査実施を断念した経緯を説明し、引き続き調査受け入れに理解を求めたが、候補地の3市町はそろって選定の白紙撤回を要求した。
宮城県市町村長会議の冒頭で挨拶する井上信治環境副大臣(13日、仙台市)
宮城県内では栗原市、大和町、加美町の3市町が処分場建設の候補地となっている。加美町は一貫して選定の白紙撤回を訴えてきたが、栗原市と大和町はこれまで条件付きで詳細調査の受け入れを容認してきた。今回3市町がそろって白紙撤回を要求したことで、宮城県の処分場建設問題は一段と難しい局面を迎えた。
会議の場で栗原市の佐藤勇市長は「候補地を返上する。今後は詳細調査を一切受け付けない」と話した。大和町の浅野元町長も「もう限界。詳細調査はもちろん、候補地を返上する」と述べた。
これに対し、井上信治環境副大臣は会議終了後、記者団に対し「3市町の候補地返上は受け入れがたい」と話した。「これまでの市町村長会議のプロセスがあるので、現在の方針を堅持していきたい」と強調した。
宮城県の村井嘉浩知事は「国が前面に立って政治のリーダシップで解決してもらいたい」と述べた。県内の意見のとりまとめで環境省から要請があった場合、県主催で市町村長会議を開く意向も示した。
市町村長会議の開催は約1年4カ月ぶり。環境省は11月19日、降雪の影響を理由に年内の詳細調査実施を断念する意向を表明。今回の会議は2年連続で詳細調査を実施できず、膠着状態が続く現状を打開するために開催した。