「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の社長だった大東隆行さん(当時72)が2013年12月に本社前の駐車場で射殺された事件で、現場近くから遺留品が見つかり、検出されたDNA型が九州に拠点を置く暴力団組員の男と一致したことが12日、捜査関係者への取材で分かった。
京都府警山科署捜査本部は、男が事件に関与した可能性もあるとみて年明け以降、拠点先の県警との合同捜査を検討している。
ただ、事件に直接関係する証拠はなく、大東さんとの関係やトラブルも確認できないため、捜査本部は男の周辺を含め慎重に捜査を進める。
大東さんは13年12月19日午前5時45分ごろ出勤し、駐車場で車を降りた直後に腹や胸などを拳銃で撃たれ死亡した。
捜査関係者によると、13年10月ごろ、京都府城陽市の民家などからバイク2台が同じ日に盗まれ、うち1台は九州ナンバーの不審車両と並走するのが本社周辺の防犯カメラに映っていた。
別の1台は事件後の14年春、本社から北東約2キロにある山科区の共同住宅の駐輪場で見つかり、銃を撃った際に残る硝煙反応がハンドル部分から確認された。タイヤの型は殺害現場の駐車場の痕跡と酷似していた。不審車両と並走したバイクもナンバープレートが付け替えられ、共同住宅の近くから見つかった。
事件当日、駐車場付近の防犯カメラ映像には人影や走り去るバイクのものとみられるライトが映っていた。捜査本部は、犯人が駐車場横の建物の脇や裏側で待ち伏せし、射殺後にバイクで逃走したとみている。
大東さんの車にあった百数十万円の現金は奪われておらず、捜査本部は会社のトラブルを背景とした組織的、計画的な犯行とみて調べている。〔共同〕