【NQNニューヨーク=神能淳志】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに小反発した。終値は前日比9ドル72セント(0.1%)高の1万7158ドル66セントだった。前日まで下げの勢いを強めていた反動から目先の戻りを期待した買いが優勢だった。ただ、中国など世界景気への警戒も拭えず、ダウ平均は下落する場面も目立った。
前日までの下落局面で、ダウ平均の下げ幅は572ドルに達していた。5日は主要な米経済指標の発表がなく新たな取引材料に欠いたこともあって、値ごろ感からの買いも入りやすかった。欧州主要国の株価指数が上昇したことも米株式相場の買いを誘った。
ダウ平均は110ドル安まで下げる場面があった。4日発表された中国製造業の景況感が悪化するなど、世界的な景気減速への懸念が米株相場の重荷となった。中国政府が大株主の売却制限など株価対策を打ち出したにもかかわらず、中国株は軟調に推移した。同国市場の不安定さが続くとの警戒も米株式の買いを鈍らせた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は4日続落し、前日比11.659ポイント(0.2%)安の4891.430で終えた。アップルなど時価総額の大きいハイテク株への売りがかさみ、指数を押し下げた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち7業種が上昇した。「電気通信サービス」や「公益事業」「生活必需品」などが上げた。一方で「IT(情報技術)」や「一般消費財・サービス」などが下げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億6000万株(速報値)、ナスダック市場は約18億7000万株(同)だった。
個別では銃器製造大手のスミス・アンド・ウェッソンが急伸した。業績見通しを上方修正したことが好感された。オバマ米大統領が銃規制の強化策を発表し、駆け込み的な需要が高まるとの思惑も銃器メーカー株の買いを誘い、同業のスターム・ルガーも大幅高となった。
中国企業による買収提案への支持を表明した半導体のフェアチャイルド・セミコンダクターも買われた。世界小売り大手のウォルマート・ストアーズや化学のデュポンなども上昇した。
一方で、アップルが安い。一部報道で主力のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の最新モデルを2016年1~3月期に減産すると伝わったことが売り材料視された。ダウ平均を構成する30銘柄で下落率が最も大きくなった。
15年12月の新車販売台数を公表したゼネラル・モーターズやフォードなどの自動車大手も売られた。メディア大手のウォルト・ディズニーやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、金融のゴールドマン・サックスなども下げた。