民間調査会社の東京商工リサーチが13日発表した全国企業倒産件数によると2015年は年間で9%減の8812件と1990年以来25年ぶりの低水準となった。大手輸出企業を中心とした収益拡大が続き、幅広い産業で倒産が減った。金融機関が中小企業に対し、返済計画の変更要請に柔軟に応じていることも倒産件数の抑制につながった。
産業別では全10業種で前年を下回った。公共工事の前倒し執行などから建設業が7年連続で減少したほか、小売業も7年連続で減少した。製造業と情報通信業はともに6年連続の減少となった。
負債総額は13%増の2兆1123億円だった。前年を上回るのは3年ぶり。14年は上場企業の倒産なかったが、昨年は第一中央汽船など3件あった。全体では負債総額1億円未満の企業が7割あまりを占めており、小規模な倒産が大半を占めている。
中国景気の減速を背景にした倒産件数は前の年に比べ6割増の76件あった。円安を原因とした倒産は151件と5割近く減少した。原油安など資源価格の下落を受けて円安によるコスト押し上げ要因が相殺されたことなどから運輸業が86%減となった一方、卸売業は50%増の75件となった。
同時に発表した15年12月の倒産件数は前年同月比2%増の699件と、9カ月ぶりに前年を上回った。子会社を多く抱える船舶運航管理会社の倒産が全体を押し上げたが、12月としては過去20年間で14年に続く少なさとなった。
産業別に見ると全10業種のうち5業種で倒産件数が前年同月を上回った。建設業が1年6カ月ぶりに増加に転じたほか、運輸業が3カ月ぶりに増えた。金融・保険業や情報通信業、サービス業も増えた。一方、製造業と小売業が2カ月ぶりに減少に転じ、件数は15年中で最少となった。
負債総額は2.1倍の2070億円に膨らみ、15年の月間で最大となった。年金資産の消失事件を起こした旧AIJ投資顧問(東京・中央、現MARU)の破産決定を受け、負債1000億円以上の大型倒産が3カ月ぶりに発生したことなどが響いた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕