日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社QUICKは、米議決権行使助言会社大手グラスルイスと提携する。株主総会議案に議決権を行使する際、参考になる助言を投資家に提供する。企業統治(コーポレートガバナンス)強化による企業業績の底上げは国の成長戦略でもあるが、人的・時間的制約の中、投資家が全ての議案を的確に判断するのは難しい。専門家による分析を賛否判断に活用してもらう。
このたび、提携で合意した。グラスルイスは米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と並ぶ助言大手だが、日本に拠点がなく、投資家が同社の助言を入手する方法は従来ほぼなかった。国内の運用会社や年金基金に対し5月から提供を始め、6月の次の株主総会から役立ててもらう。
グラスルイスの助言は国内2千社を含む、世界の主要上場3万社を網羅する。取締役選任や配当といった総会議案の一つ一つを一定の基準に照らして賛否を推奨し、企業ごとのリポートにまとめる。
日本企業の外国人株主の保有比率は32%(15年3月末)と過去最高水準で、「もの言う株主」が株主提案を行う可能性も高まっている。議決権争奪戦に発展するような提案は専門性が高く、判断が難しい場合も多いが、今後は「第三者」としてのグラスルイスの意見を参考にできる。QUICKは世界の投資家動向に詳しく、提携を機に日本の顧客への解説や情報提供を強化していく。