けが人が続々と運び込まれた病院では、地震の影響で万全の態勢をとれないまま、懸命の対応が続いた。熊本県のまとめによると、県内10カ所以上の医療機関で、約860人のけが人などを受け入れた。
熊本で震度7 これまでの経過を時系列で
特集:熊本地震
熊本県御船町(みふねまち)の希望ケ丘病院では、14日夜の地震で電気や水道が使えなくなり、朝まで自家発電機で院内の照明を保った。15日早朝から入院患者約180人を熊本市東区の県立東稜高校へ搬送を開始。自衛隊の車両や九州各地から駆けつけたドクターカーなどを使い、患者らをピストン輸送した。車いすに乗ったり、ストレッチャーに横たわったりしたお年寄りたちは、不安そうな表情で車に乗り込んでいた。
熊本市の済生会熊本病院では、地震発生直後にエレベーター3台が停止。15日午前8時ごろまで使用見合わせが続く中、搬送された87人に対し、治療の優先順位を決める「トリアージ」が行われ、緊迫した状況が続いた。これまでに1人が死亡し、重症や重体などの13人が入院。同病院によると、9人の患者が特に症状が重いといい、15日は、緊急を要しない患者については、同意を得た上で入院を先送りしてもらうなどの対応をとった。
熊本赤十字病院(熊本市)も地震で一時エレベーターが停止し、患者らは1階で待機した。医師らは続々と運び込まれる患者に、トリアージや処置をほどこした。また、医師や看護師、薬剤師ら計9人を乗せた特殊医療救護車両を被災現場に派遣し、益城町役場近くなどで負傷者の処置にあたった。15日朝からは、通常の外来診療を休診し、救急対応にあたった。