元航空幕僚長・田母神俊雄容疑者(67)らによる公職選挙法違反事件で、朝日新聞は田母神容疑者らが現金配布について確認する映像を入手した。支援者に受領を拒否された金を田母神容疑者が受け取ったことを認める場面もある。東京地検特捜部は運動員への現金配布の実態解明を進めている。
田母神・元空幕長を逮捕 選挙運動員に現金配った疑い
接見した田母神容疑者の弁護人は15日、「(現金配布の指示も了解もしていないという)従来の主張にかわりない。立場は否認です」と話した。
関係者によると、ビデオは東京都知事選の1年後の昨年2月に撮影された。机上には現金配布リストが置かれ、田母神容疑者や、元選挙対策本部事務局長の島本順光容疑者(69)らが、会計責任者から聞き取り調査をする様子が約100分間映っている。
冒頭、島本容疑者が「言った言わないという話があるのでビデオで撮らせてもらってます」と断り、撮影が始まる。
会計責任者が「直接現金で渡した。2人(映像では実名)に50万円と20万円」と言うと、田母神容疑者は「それは聞いていますよ」と応じ、島本容疑者も「これは全部、領収書はとっていません」。会計責任者が「振り込みでやった方もいる」と説明すると田母神容疑者は「領収書が残っていた。2人(映像では実名)に30万と20万」。会計責任者が支援者2人から受け取りを断られた計100万円について「閣下(田母神容疑者)にお渡しした」というと、田母神容疑者は「うん」と認めた。
ビデオの終盤には、会計責任者が「私の会計処理で約3千万円の不明金が発覚した。刑事訴追をご容赦いただきたく、私の借財として返済することを約束する」などとする文書にサインする場面もあった。
田母神容疑者はビデオ撮影の6日後、記者会見し「会計責任者が約3千万円を私的流用した」と公表したが、現金配布については一切明らかにしなかった。(藤原学思)