4階部分が押しつぶされた宇土市役所本庁舎=16日午前5時8分、熊本県宇土市、金子淳撮影
16日未明に再び大きな地震に襲われた熊本県益城(ましき)町や同県宇土(うと)市では役場や市役所の建物が損壊した。いずれも使用できなくなり、終日混乱が続いた。
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益城町では災害対策本部を置いた町役場の3階部分などに亀裂が入った。1階は救援物資が散乱して足の踏み場もない状態に。庁舎全体を立ち入り禁止とし、職員全員が避難した。災害対策本部は一時的に、庁舎隣の駐車場に設けられた。
町は16日夜からの雨に備え、災害対策本部の移設を検討したが、町内の主な公共施設は住民の避難所になっていた。最終的に町保健福祉センターへの移設が決まり、午後2時前から自衛隊や消防、町職員らが入り、対応に追われた。
死亡者や行方不明者数の情報も錯綜(さくそう)した。16日午前、災害対策本部は死亡者が1人出たとして名字などを発表したが、約3時間後には「そのような事実はなかった」と訂正。行方不明者数も3人から0人とするなど、混乱した。
16日未明の地震で震度6強が観測された宇土市の市役所本庁舎は、鉄筋コンクリート造り5階建ての建物の4階部分が押しつぶされ、崩壊寸前になった。市は本庁舎の敷地内への立ち入りを制限した。
市によると、本庁舎は約50年前に建てられた。十数年前の耐震試験で「震度6や7の地震には耐えられない」との結果が出ていたが、財政上の理由で建て替えを先延ばししてきた。しかし東日本大震災後、建て替え議論が本格化し、検討が進められていた。
地震発生時、本庁舎1階の警備室で仮眠していた警備員の村上泰三さん(59)は庁舎を外から見て「本当に潰れた」と絶句した。
県によると、市役所の駐車場にテントを張って災害対策本部とし、救援物資の配布や被害状況の確認をしたという。相次ぐ地震に宇土市職員は「被災者への対応で手がいっぱい」。各種書類の発行など、地震関連以外の業務も続ける必要があるが、担当者は「どこの場所で発行業務を行うかはまだ詰めていない」という。