益城町議会では定例会の冒頭、議員と町職員らが熊本地震の犠牲者に黙禱(もくとう)を捧げた=14日午前10時1分、熊本県益城町、金子淳撮影
熊本地震の発生から半年を迎えた14日、被災地では各地で祈りが捧げられた。犠牲者を悼み、復興への決意を新たにした。
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被災した家屋が1万棟を超える熊本県益城町では午前10時、開会中の町議会の冒頭で、西村博則町長や町議らが黙禱(もくとう)した。
全員が防災服姿のまま。議会棟がある役場庁舎は損壊して使えないため、議会は約1キロ離れた交流情報センターの一室で開催した。
隣接する町総合体育館には避難所が設けられており、いまだ約100人が避難生活を送る。町内で被災した家屋は、10日現在で1万186棟。近くには今も、倒壊した家屋が被災当時のまま数多く残り、道の両側にはがれきが積み重なったままだ。この日も、解体を進める重機の音が響き、がれきを積んだトラックが行き交った。
益城町や御船町などの寺院が主催して益城町文化会館で執り行われた追悼法要には、約60人が参列した。益城町安永の田口京子さん(69)は自宅が全壊し、今は熊本市東区の「みなし仮設」のアパートに住む。地震では近所の人が亡くなったが、何もしてあげられなかったという。「今日はせめて供養だけでもさせてもらいたいと思って参列しました」と話した。
仮設住宅に住む福本清三さん(55)は4月14日の前震で同町安永の自宅が全壊し、妻の末子さん(当時54)を亡くした。まだ家の解体が済んでおらず、仕事に追われる毎日でゆっくり手を合わせる暇もなかったという。「落ち着かなくて、心配事が続く。でも、生活していかないと。こんなときに妻がいてくれたら……」。法要で手を合わせ、「今までの妻との日々を、楽しかったりけんかしたりした日常を思い出した。子ども思いで優しかった」と話した。
熊本県庁でも、蒲島郁夫知事ら幹部が庁議の前に一斉に黙禱した。その後の定例会見で、蒲島知事は「美しく活気に満ちた熊本の復活と、更なる発展のため、復興の歩みを加速していきましょう」と呼びかけた。
熊本市内では午前10時、サイレンが鳴り響き、市職員らが起立して黙禱を捧げた。市の臨時議会で、大西一史市長は、東京五輪に向けてハンドボール・フランス代表チームの合宿誘致に取り組んでいることを報告し、「震災で大きく減少した海外からの観光客などインバウンド促進にもつなげていく」と述べた。