熊本県益城町平田で家が倒壊して亡くなった内村宗春さん(83)は、妻ミツエさん(79)と母魂児(たまこ)さん(102)と同居していた。救助された家族によると、14日の地震では自宅に大きな被害がなく、高齢の魂児さんのことを思い避難所へは行かなかったという。
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無口でまじめだったという宗春さん。20年以上タクシー運転手を務め、ミツエさんは「そんな無愛想で客商売ができると」と冷やかした。孫の愛美さん(24)は幼い頃、宗春さんの運転するタクシーで益城町を巡った時のことをよく覚えている。「優しいおじいちゃんでした」。野菜づくりとテレビの時代劇が好きで、庭の畑でにんにくが青い茎を伸ばしていた。
16日、隣に住む長女夫婦と愛美さんはレスキュー隊を呼ぶなど力を尽くした。「私の方が逝けばよかった」。魂児さんはそう言って涙を流したという。