ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問は18日、3月末の新政権発足後、初めて国民向けに演説した。民主化の完成に向け、憲法改正や国内和平の実現などの公約に加え、国の発展のために国民の能力向上に力を入れる方針を示した。
スーチー氏は与党・国民民主連盟(NLD)が昨年の総選挙時に示した国民和解や改憲の実現といった理念に基づき、政権を運営すると強調。少数民族武装勢力と包括的な停戦協定をめざす意向を示しつつ、「和平の実現と真の連邦民主国家の創設は密接に関係している。それが憲法改正が必要な理由だ」と訴えた。
国会の4分の1の議席を軍人枠とするといった国軍による政治介入の是正や、地方分権を進めるための改憲を模索しているとみられる。「国民が傷つかず、国の平穏も乱さない方法で実現する」と述べ、改憲に消極的な軍の説得に努力する考えを示した。
経済発展については「ミャンマーは資源が豊富と言われるが、本当に重要なのは国民の能力だ」と指摘。半世紀に及んだ軍の政治支配下で軽視されてきた教育の立て直しや人材育成に力を入れる姿勢を示した。
スーチー氏は、国家顧問として大統領や閣僚らに助言する権限を持つ。(ヤンゴン=五十嵐誠)