地震で倒壊したとみられる築地塀跡。中央部分の塀が崩れ、大量の瓦が両側の側溝に落ちたらしい=京都市下京区、市埋蔵文化財研究所提供
平安京の皇嘉門(こうかもん)大路跡(京都市下京区)で、大量の瓦片が2列に並んだ状態で見つかった。京都市埋蔵文化財研究所は、9世紀に築かれた築地塀(ついじべい)が南海トラフを震源とする887年の仁和(にんな)地震などで倒壊した跡とみている。地震の痕跡が明確にわかる平安京の遺構は珍しいという。
南海トラフ地震の被害想定
足元の活断層
揺れやすい地盤
京都市中央卸売市場の整備に伴う発掘調査で、皇嘉門大路東側から盛り土が幅約3メートル、長さ約24メートルにわたり出土。塀の両側の側溝跡で、平安時代初期の9世紀のものとみられる瓦片の列が見つかった。
側溝に堆積(たいせき)していた土からは、地震の際に起きる液状化現象に似た痕跡が確認された。山崎断層を震源地に868年に起きた播磨国地震(平安京で推定震度4)や仁和地震(同震度5強)など、9世紀後半~10世紀に相次いだ地震で倒壊したとみられるという。がれきをそのまま埋めたため、良好な状態で残されたらしい。
現地説明会はすでに終了している。(久保智祥)