ヤマト運輸が荏原製作所から購入した土地で、有害なアスベスト(石綿)を含む建材が多数見つかったとして、除去費用など約85億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(永谷典雄裁判長)は28日、約56億2千万円を支払うよう荏原製作所に命じた。
判決によると、ヤマト運輸は2007年12月、新しい物流ターミナル建設のため、羽田空港近くに約10万平方メートルの土地を785億円で購入。11年1月に着工したところ石綿を含む建材が見つかったため、撤去して処分した。
訴訟で荏原製作所側は、建材は戦時中に同社の工場が空襲を受けた時のものだと説明。両社は土地売買契約の中で「土地に隠れた欠陥があれば賠償請求できる」と定めており、建材が「隠れた欠陥」に当たるかが争点となった。判決は、「石綿を含む建材は厳格な処理が求められ、『隠れた欠陥』にあたる」と判断した。