大規模な崖崩れで線路が崩落した南阿蘇鉄道=26日、熊本県南阿蘇村立野、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影
熊本県の阿蘇山南麓(なんろく)を横断するローカル線の南阿蘇鉄道が、熊本地震で甚大な被害を受けた。復旧の見通しは立っていない。未曽有の危機を救おうと、東日本大震災で被災した路線をはじめ各地の「ローカル線仲間」たちが動き出した。
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熊本地震 災害時の生活情報
窓ガラスのないトロッコ列車が高さ60メートルの鉄橋を渡り、原始林を抜ける――。毎週末の光景は、16日の「本震」で一変した。
線路には土砂が流れ込み、鉄橋上の線路はゆがんだ。トンネルの内壁には亀裂が入った。駅舎内に温泉施設がある阿蘇下田城ふれあい温泉駅では、屋根瓦が大量に落ちて線路上に散乱した。
高森(同県高森町)―立野(南阿蘇村)の約18キロを結ぶ。国鉄民営化で廃止された高森線を引き継ぎ、第三セクターとして1986年に営業を始めた。観光客の利用が多く、2014年度は約24万人が乗り、トロッコ列車による収益が45%を占めた。従業員はわずか13人。地震から10日以上が過ぎても被害の全容はつかみきれず、復旧作業も進まない。年間数百万円という赤字もあり、「運行再開のめどはまったく立っていない」(同社)という。