シリア北部イドリブで4日、アレッポ住民への連帯を示して座り込みをする人たち=ロイター
米国とロシアが主導した停戦合意が崩壊の危機にあるシリア情勢をめぐり、米ロ両国が激戦地の北部アレッポと周辺での戦闘を停止させることで合意した。4日、米国務省が発表した。
アレッポでは、市街地が砲撃を受けたり、病院が空爆されたりして、市民に多くの犠牲者が出ている。米国務省は声明で「ロシアがアサド政権に(停戦合意を守るように)働きかけることを期待し、米国は反体制派に対して行う」とした。ロシアはアサド政権を、米国は穏健とされる反体制派を支援している。
今回の合意は、シリアの現地時間で4日午前7時1分(日本時間同日午後1時1分)に発効。米国務省によると、それ以後、アレッポと周辺で戦闘行為が減少しているという。
米ロ主導の停戦合意は今年2月に全土を対象になされたが、その後、アレッポを中心に戦闘が激化。地域を限定して警告を発するなど再度、軍事行動の停止を求めざるを得なくなっている。停戦合意の対象には過激派組織「イスラム国」(IS)のほか、アルカイダ系「ヌスラ戦線」は含まれていない。欧米が支援する反体制派は一部でヌスラ戦線と共闘しており、枠組みが複雑化している。(ワシントン=杉山正)