阪神の秋山拓巳
(1日・プロ野球 阪神7―1DeNA)
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阪神・秋山の8年ぶりの完封勝利は目前だった。八回まで3安打、球数も90球。だが、大量リードの展開は得てして難しい。九回に筒香の左犠飛で1点を失い、「まさに俺っぽいなと思った」と苦笑いした。
唯一の完封は高卒新人だった2010年。そこから長い2軍暮らしで地獄も見た。8年目の昨季に復活して12勝したが、今季は真っすぐが走らず1勝3敗と黒星先行。今回は中9日と調整期間が長くなり、ブルペンで「しっくりいってなかった」というフォームの躍動感を取り戻した。
五回は1死三塁から梶谷を147キロ、柴田を146キロ直球で連続三振。七回も筒香を144キロで三球三振に退けた。マウンド上で跳ねるように投げ、「だいぶ自信を取り戻せた」。制球の良さは相変わらずで、無四球。四回には左前適時打を放ち、自らを楽にした。
2年目以降に苦労した分、浮ついたところがない。2軍では見下ろすような投球を見せても、好調時に限って1軍に枠が空かず、調子が落ちた頃にお呼びがかかる悪循環が数年続いた。当時のコーチは「はい上がるには運も必要だけど、秋山は気の毒なほど不運だった」と振り返る。秋山自身も一時、チームに居場所がないと感じたほどだった。だからこそ、手にした立場の重さが分かる。
9連戦の4戦目。登板過多の救援陣を休ませたという意味で、今季のチーム初完投は値打ちがある。(伊藤雅哉)