長崎県対馬市の寺から韓国人窃盗団によって盗まれた仏像について、日本への返還を求めて拳を振り上げる韓国人の参加者ら=12日午前、ソウルの韓国外交省前、東岡徹撮影
長崎県対馬市の寺から韓国人窃盗団が盗んだ仏像を日本に返還するよう求める集会が12日、ソウルで開かれた。韓国人ら約50人が参加。集会では「韓国人が盗んだ仏像を返さないなら、法治国家と言えない」とし、韓国政府に対し、日本への早期返還を求めた。こうした集会が韓国で開かれるのは異例だ。
問題の仏像は、対馬市にある観音寺の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」。2012年に盗まれ、13年に韓国で窃盗団が検挙された。仏像も押収され、韓国で保管されている。しかし、韓国の浮石(プソク)寺が日本の海賊「倭寇(わこう)」に略奪された可能性があるとして、所有権を主張。韓国政府に引き渡しを求める訴訟を起こしている。
この日、集会を主催したのは日韓の歴史問題の解決を求める韓国の政党などで、戦時中に朝鮮半島から動員された「徴用工」の遺族らも参加した。主催者側は「私たちが日本に歴史に対する謝罪と反省を求めているのに、窃盗品を返さないというのは話にならない」などと説明。今後は1万人の署名を集めて、文化財庁などに提出するという。(ソウル=東岡徹)