蜷川幸雄さんの葬儀を終え、目を潤ませながら取材に応じる藤原竜也さん=16日午後3時14分、東京都港区
■蜷川幸雄さんへ 俳優の藤原竜也さんの弔辞
特集:蜷川幸雄さん逝く
その涙はうそっぱちだと怒られそうです。(弔辞を)短く言ったら長く言えと怒られる、長くしゃべるとすれば、つまらないから短くしろと怒られそうです。
まさか蜷川さん、今日ぼくがここに立つことになるとは想像していませんでした。5月11日、病室でお会いした時間が最後になってしまうとは、ごめんなさい。本当に申し訳ないです。
先日ね、公園で1人、「ハムレット」の稽古の録音テープを聞き返してみましたよ。恐ろしいほどのダメ出しの数でした。瞬間にして心が折れました。
「おれのダメ出しでお前に伝えたことはほぼ言った」「今はすべてを分かろうとしなくていい。いずれ理解できる時がくるから。そうしたら少しは楽になるから」「アジアの小さな島国でちっちゃい俳優になるな、もっと苦しめ。どろ水をつかんで、もがいて苦しんで、本当にどうしようもなくなった時に手を挙げろ、その手を必ず俺が引っ張ってやるぞ」と、蜷川さん、そう言ってくれましたよ。