当時の部活動計画表を手に、教育現場での熱中症予防を訴える原告の父親(左)=大阪市北区
大阪府東大阪市立中学1年だった女性(18)がバドミントン部の部活動中に熱中症になり、後遺障害を負ったのは対策の不備が原因だとして、女性が市に対して5639万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、大阪地裁であった。野田恵司裁判長は、学校が熱中症を防ぐ義務を怠ったと判断し、411万円を支払うよう市に命じた。
判決によると、女性は2010年8月30日午前11時10分から練習を開始。体育館で練習試合中の午後1時過ぎ、床に落ちたシャトルを2度拾い損ねるなどの変調を来し、頭痛を訴えて病院に運ばれた。脳梗塞(こうそく)と診断されて入院し、その後、左手指先が不自由になるなどの後遺障害を負った。
判決は、当時の館内の室温は36度ほどと推測でき、日本体育協会の熱中症予防指針で「運動は原則禁止」とする環境に近かったと指摘。そのうえで、校長は熱中症予防のため、温度や湿度を把握すべきだったにもかかわらず、温度計などを設けていなかったとした。一方、障害の程度は原告の主張通りとまでは認められないとして賠償額を抑えた。
市教育委員会の清水紀浩学校教育部長は「判決内容を検討し、今後の対応を考えたい」とコメントした。