過去最長の裁判員裁判となる殺人・逮捕監禁致死事件の初公判が16日、神戸地裁姫路支部で始まった。男性3人を殺害したり、死亡させたりしたとされる起訴内容などに対し、元パチンコ店経営の中村春根被告(47)は罪状認否で「全ての事件について、私は無罪です」と述べ、全面否認した。11月8日の判決まで207日で、公判回数(判決を含む)も過去最多の76回に上る予定だ。
起訴内容は中村被告が知人らと共謀し、2010~11年、当時37~57歳の男性3人を兵庫県姫路市などで殺害したり、監禁して死亡させたりしたとするもの。
検察側は被害者とされる3人について、中村被告の親族が被害者となった事件をめぐる怨恨(えんこん)や、金銭貸借のトラブルなどがそれぞれ被告との間にあったと主張するとみられる。被告側は事件への関与を全面的に否定。3人中2人の遺体が見つかっていないことなどから、事件そのものの存在を争う構えを見せている。
被告の関与や事件の経緯をめぐる争点が多岐にわたり、100人近い証人の出廷も見込まれるため、判決までの日程は従来最長だった160日(16年、名古屋地裁)を大きく上回ることになった。
神戸地裁本庁によると、今回の裁判員裁判では501人に呼び出し状を送ったが、仕事や介護などで384人の辞退が事前に認められた。地裁姫路支部で6日にあった選任手続きには77人が出席。裁判期間の長さを考慮して、6人の裁判員のほか、補充裁判員も上限の6人が選ばれた。