引退宣言を撤回したアメリカンフットボールの高田鉄男選手=大阪府門真市、伊藤菜々子撮影
アメリカンフットボールの社会人XリーグのパナソニックQB高田(たかた)鉄男(34)が昨季限りでの引退宣言を撤回した。現役続行を望むチーム内外の声に背中を押され、高田は今月からチーム練習に戻った。
1月3日にあった日本選手権ライスボウル。高田はパナソニックを8年ぶり4度目の日本一に導いた。また、2015年シーズンのXリーグMVPにも選出。「気持ち良く引退できます。もう、コーチもしません」と言い切っていた。
あれから4カ月、気持ちは変わった。最も心を揺さぶられたのは、応援してくれた人たちの声だった。「誰に会っても、『なんで、やめるの? やめないでよ』って言われるんです」。社内では突然、面識のない人にも現役続行をお願いされたという。11年間プレーしたパナソニックは実業団で、改めて周囲の支えに気づかされた。
高田は日本アメフット史に残るQBだ。小学5年で競技を始め、大阪産大付高、立命大、パナソニックの全てでエースQBを務めた。それぞれで日本一にもなり、数多くの大会でMVPを獲得。もう、日本でとれるタイトルは全てとったと言っても過言ではない。また、日本代表のエースQBとしても長く活躍し、4年に1度開催される世界選手権には3回も出場した。「もう、タイトルとか代表とかは関係ないですね。1日1日を大事に、楽しみたいですね」と高田。再び、34歳のアスリートが歩み始めた。(大西史恭)