戸塚健大君=遺族提供
「祈りと誓いの集い」に先立ち、1年生だった長男健大(たかひろ)君(当時6)を亡くし6年生の次男(11)が大阪教育大付属池田小に通う戸塚正子さんが、同小体育館で保護者ら約600人を前に講演した。同小によると、集いの日に遺族が話をするのは10年ぶりという。
池田小事件から15年、風化させない 祈りと誓いの集い
事件後も亡くなった8人の学籍は同小に残り、戸塚さんは健大君が卒業する年まで保護者として学校行事に参加した。戸塚さんは「『僕の心は学校に通うよ』と健大が耳元でささやいている気がした」と振り返った。机に写真が飾られ、友達が手紙を入れてくれて、「健大はたくさんの友達の心の中で生きていると感じ、友達の表情、行動、思いが胸に響いた」と話した。大勢の保護者から穏やかに迎えられ、つらいと話せる場所もあったと、感謝の気持ちを語った。
15年たった心境について「健大が元気でいてくれたら22歳の誕生日を迎える年になりました。どんな青年になっているかと思い巡らせ、夢で会えるよう願っています」と語った。
事件が遠い過去の不幸な出来事として風化することを危惧しているという。「笑顔あふれる学校生活を送れることは恒久に約束された世界ではありません。保護者が大切な命を預け、学校関係者が預かっていることをそれぞれ自覚し、責任を持ち、的確な行動をすることに委ねられている。今日の話を心の片隅にとどめていただけたら幸いです」と訴えた。(森嶋俊晴、吉村治彦、沢木香織)