B―CASカードを使わず有料放送を見る不正の仕組み
有料放送の「タダ見」を巡っては、B―CASカードを偽造する不正が過去にも横行した。しかし今回は、カードを使わずパソコンのプログラムにより視聴制限を解除するという新たな手口だ。
衛星放送を無料視聴するプログラム公開容疑 17歳逮捕
有料放送は通常、電波が暗号化されているため未契約では見られない。視聴するには、B―CASカードの情報を放送事業者に伝え、契約して暗号化を解除してもらう必要がある。
今回逮捕された少年が作成したのは、この暗号化を解除するプログラム。テレビなどに差し込むカードがなくても、プログラムとワークキーを使えばパソコンで無料視聴できるという。警視庁によると、こうした不正プログラムの公開容疑での検挙は全国初という。
カードを管理・運用するB―CAS社によると、無料視聴できるようカードが改ざんされる問題が2012年ごろに浮上した。輸入した不正カードがネットで販売されるようになり、警察当局は輸入、販売業者らを相次いで摘発。B―CAS社は今も、技術的な不正防止対策やネット上での監視を続けているという。
捜査関係者は「ネット上で入手できる不正プログラムは、売買される不正カードに比べて拡散の可能性が高く、無料視聴が横行する恐れがある」と警戒している。(阿部朋美)