病院での治療で骨折したウサギ(原告提供)
飼っていたウサギが骨折し、死んだのは動物病院の不適切な処置が原因だとして、東京都内の女性が、品川区の動物病院の運営会社に約135万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。手嶋あさみ裁判長は、死亡との因果関係は認めなかったが、病院の処置でウサギが骨折したと認め、約43万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2011年12月、この病院で当時5歳のオスのウサギの歯の切断を依頼。院長が口を開く器具を使い、歯を切断した後、別の病院でアゴの骨が折れていたことが発覚。ウサギは食欲不振が続き、12年3月に死んだ。
判決は、器具で口を開いた際にウサギが骨折したと認定。「麻酔下で処置するのが一般的で、無麻酔で行うなら特に慎重にする必要があったのにその義務を果たさなかった」として、慰謝料8万円や別の病院での治療費などの支払いを命じた。一方、死亡は腎不全が原因だとして、骨折との因果関係は否定した。
女性の代理人弁護士は「ウサギの治療をめぐる裁判は珍しい。死亡ではなく骨折だけで一定の慰謝料を認めた意義のある判決だ」と話した。女性は代理人を通じ「家族同然だったウサギのために裁判で2年以上闘ってきました。痛ましい事故が二度と起こらないよう、獣医療の質の向上を願います。今でも可愛いウサギの姿は忘れられません」とコメントした。(千葉雄高)