山梨県山梨市の職員採用試験で、受験者に便宜を図る見返りに80万円を受け取ったとして、受託収賄などの罪に問われた前市長の望月清賢(せいき)被告(70)の判決公判が26日、東京地裁であった。島田一裁判長は「刑事責任は同種事案の中では相当重いが、市長職を辞して反省している」と述べ、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。
判決によると、被告は今年2月、山梨市の自宅を訪れた元中学校長(58)と元収入役(73)=いずれも贈賄罪で公判中=から、校長の息子の市職員採用で便宜を図る見返りに80万円を受け取った。また、2014年の市長初当選後、3年連続でほかの受験者4人の点数を水増しして虚偽の文書を作り、不正に任用した。
島田裁判長は元収入役らが望月被告の支援者だったことに触れ、「(犯行は)支援者の恩義に報いて便宜を図る自己本位な考え方に基づく」と認定。「公平・公正さが強く求められる地方公務員の任用制度の信頼を低下させた」と述べた。(長谷文)