部落解放同盟と組坂繁之委員長ら被差別部落出身者計244人が、川崎市の出版社と経営者ら2人を相手取り、部落地名リストの復刻出版の禁止などを求めた訴訟の初弁論が5日、東京地裁(河合芳光裁判長)であった。出版社側は「被差別部落出身者という身分は法律上存在しない」として、訴えを退けるよう求める答弁書を提出した。
戦前の調査報告書「全国部落調査」に基づいて部落地名リストを収録した書籍の復刻出版を出版社側が予告し、ネット上のサイトにリストを掲載したのに対し、解放同盟側は出版禁止やサイトの削除を求めて4月19日に提訴。原告1人あたり110万円、計約2億7千万円の損害賠償を求めている。
片岡明幸・解放同盟副委員長は法廷で「差別を助長する許しがたい行為で、結婚差別や就職差別の被害をもたらす。即刻、出版や掲載を禁止するよう強く訴える」と意見を述べた。
提訴に先立ち、解放同盟側の申し立てを認める形で横浜地裁が復刻出版や販売を禁じる仮処分決定を3月28日に出した。横浜地裁相模原支部もサイトの削除を命じる仮処分決定を4月18日に出している。(編集委員・北野隆一)