覚醒剤事件の捜査で証拠品の保管や調書の作成に問題があったとして、警視庁は8日、町田署組織犯罪対策課に所属する男性警部補(43)を戒告、男性巡査部長(34)を警務部長訓戒の処分とし、発表した。巡査部長については事実と異なる調書を作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検した。
この事件では、男性が覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われたが、東京地裁立川支部が今年3月、無罪判決を出した。
人事1課によると、警部補は男性から強制採尿した昨年3月、尿の保管容器の封に、本来は必要な男性の署名を入れなかったほか、鑑定に出すのを忘れて20日間放置していたという。
警部補は同年5月、部下の巡査部長に、この尿の差し押さえの経緯を記録する調書の作成を指示。巡査部長は採尿時に別部署にいたのに、採尿に立ち会わなければ作成できない調書を作成した疑いがある。
この調書を逮捕状請求の資料の一部として、町田署は同年5月に男性を逮捕。しかし地裁支部は、容器の封に署名がないことなどから、覚醒剤の陽性反応が出た尿の鑑定書を証拠採用せず、男性を無罪とした。
判決は、採取した尿について「すり替えられた疑いを否定できない」と指摘していたが、警視庁はこの日の発表で、「調査の結果、すり替えや取り違えはなかった」とした。