照ノ富士(手前)は妙義龍を寄り切りで破る=小川智撮影
(11日、大相撲名古屋場所2日目)
どすこいタイムズ
両差しを許し、いきなり土俵際に追い込まれた。両ひざに不安を抱える照ノ富士の両足が俵にかかる。絶体絶命のピンチ。そんな苦境からカド番大関の反撃は始まった。
「ちょっとは踏ん張ることが出来ました。粘ることが出来て良かった」。右足一本で残すと、上背を生かして左上手をつかんだ。上手投げで妙義龍の体勢を崩して優位に立つと、休まずに寄り切った。
昨年9月の秋場所で右ひざを負傷。それでも綱とりを目指し、九州場所は患部をかばいながら出場を続けた。左ひざも痛め、今年初場所では右鎖骨を骨折。春場所では左ひじ痛まで抱えた。けがの連鎖が止まらず、先場所は大関で史上ワーストの13連敗。「前のオレに戻りたい」と弱音を吐いた。
復活を信じ、両ひざを支える筋力強化を続けている。「いつかは結果が出る」。そう自らに言い聞かせ、苦しい日々を耐える。3場所前からは水分補給に白湯(さゆ)を飲み始めた。猛暑の名古屋でもそのスタンスは変えていない。体を冷やさず体調管理に気を使う。すべては「復活」のためだ。