「思いやり予算」の推移
「もっと払わないなら、米軍を撤退させる」。米大統領選で共和党の候補者となったドナルド・トランプ氏の発言で、在日米軍のために日本が負担している「思いやり予算」が注目されている。もっと払うべきなのか。それとも、払いすぎなのか?
米海軍最大の原子力空母(全長333メートル)が使える岸壁、軍関係者向けの広い住宅、ゴルフ場……。昨年完成したドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」は、国内の各地で思いやり予算の使われ方を追った。
日本在住の米国人監督、リラン・バクレーさん(51)は、「ほとんどの日本人は自分たちの税金が米軍の何に使われているか知らない。そんな状態で日本が負担し続けるのはおかしい」と話す。
1960年に結ばれた日米地位協定では、在日米軍にかかる費用は日米で分担すると定められている。当初は、日本が基地提供とその土地所有者への賃借料を、米国側が米兵や基地で働く日本人の給料などを負担してきた。
だが、70年代の石油ショックの後、インフレや円高の影響で、米国側は追加負担を求めるように。これに対し、当時の金丸信防衛庁長官は「思いやりの立場で地位協定の範囲内で、できる限りの努力を払いたい」。この発言が「思いやり予算」の起源とされる。
そして日本は78年度の予算で…