東洋ゴム工業(大阪市西区)と子会社が建物の揺れを抑える免震ゴムの性能データを偽った問題で、東洋ゴムは20日、非を認め、問題のゴムを納入した枚方寝屋川消防組合(大阪府枚方市)に、請求通り損害金約1750万円を支払った。組合関係者らへの取材でわかった。2月に全面運用された枚方市の同組合新本部庁舎には、問題の免震ゴム19基が使われていた。
問題は昨年3月に発覚。免震ゴムを他社製に替えるため、新本部庁舎の全面運用は7カ月遅れた。工事遅延の違約金分や国土交通省との会議費などを損害金とみて、組合は先月、約1750万円を請求していた。
組合の予算決定に関わる立場にあった枚方市議は今年3月、大阪府警に不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で告発した。告発状によると子会社の担当者は2014年9月、免震ゴムが国土交通省の基準を満たしていると偽ったとされる。
東洋ゴムの社外調査チームによると、この工事に問題のゴムが納入される2日前、本社幹部らは出荷を止めて国交省に問題を報告する方針を会議で決めた。しかし、数時間後の会議で方針は撤回されたという。府警は子会社の元幹部らに任意で事情を聴いており、経営陣の指示の有無についても、慎重に捜査を進める。
同社は1996年以降、問題のゴムを30都府県の154棟に納入。製品の質のばらつきを隠すため、根拠のない数値を使ったり、性能試験で過去のデータを流用したりしていた。
東洋ゴムの広報担当は取材に対し、「地域の重要な防災拠点の稼働が遅れ、市民、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを改めて心よりおわび申しあげます」と話した。