HDDのおもな製造・流通の構図
ハードディスク駆動装置(HDD)の部品をめぐって価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会は26日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、いずれも東証1部の精密部品大手TDK(東京都港区)とニッパツ(横浜市金沢区)の本社などに立ち入り検査に入った。公取委は国際的なカルテルとみて米当局と連携して調査を進める方針。
カルテルの疑いがあるのは、サスペンションと呼ばれる板ばね状の部品。この部品の先に電子情報を読み書きするチップを取り付け、「磁気ヘッド」が作られる。HDDは、内部で回転する金属板(ディスク)に磁気ヘッドを近づけることで、電子情報のやりとりをする。
業界関係者によると、サスペンション製造の世界シェアは、TDKとニッパツの2社で約9割を占める。年間の市場規模は1千億円超とみられるという。公取委は、2社が遅くとも数年前からサスペンションの販売でカルテルを結び、価格を高止まりさせていた疑いがあるとみている模様だ。
2社のサスペンションや磁気ヘッドはおもに中国と東南アジアで生産され、HDDを製造する米2社と東芝に販売されていた。3社のHDDはパソコンメーカーなどに納入され、世界で販売されている。
一般社団法人「電子情報技術産業協会」の推計によると、2015年のHDDの世界出荷台数は約4億7048万台で、10年の6億5095万台から約3割減っている。(贄川俊)
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TDKとニッパツは立ち入り検査を受けていることを認め、「調査に協力していく」とコメントした。